炉辺夜話

炉辺夜話

宮本常一はここ数年ずーっとブームのようだ。
大学時代、私は、「市民の云々」とか「市民社会においては云々」という議論にどうもなじめなかった。けれども、私のまわりの同級生や先輩や先生は「市民社会」とか「市民」ということを否定することは「よくない」ことであるという風潮であった。
私も当時はいまよりもあほだったので、それに対して積極的に反論することも、市民とはなんぞや、とも考えることなく違和感だけを募らせていたのだが、宮本常一の『忘れられた日本人』(岩波文庫忘れられた日本人 (岩波文庫)とか、『庶民の発見』(講談社学術文庫庶民の発見 (講談社学術文庫)を読んで、市民という概念は結局近代都市の人間にしかあてはまらない概念なんだな、と思って心強く思ったものである。